工業用 職業用厚物ミシンの調整とメンテナンス お掃除編
お使いのミシン、お掃除していますか?
GOZI帆布店主のGoziが、いつもの掃除を参考にざっと解説していきます。
そもそもミシンの掃除は必要なのか?
ここだけは掃除しておきたいという箇所は?
ミシンで特に掃除が必要な場所は、縫製時の糸くずが溜まりやすい釜周辺です。
釜を糸くずだらけにしておくと、下糸に絡んで製品に付着します。
また、
それが油分を含んでいると、製品が汚れます。
ホコリを溜め込むとミシンの動きが重くなることも考えられます。
◎ミシンを掃除することのメリット
- キレイになれば気分がイイ
- 縫製時、繊維クズ、ホコリによる不要なトラブルが避けられる
- 点検を兼ねて行うと、異常の発見が早いかも
×ミシンを掃除することのデメリット
基本、特にデメリットは無いと思いますが、あえて言えば
- めんどくさい
- 丁寧に掃除しようとするとパーツを外さなければならない
- パーツを外すと破損させる可能性も(パーツを落とす、ネジを壊すなど)
- 釜のレースや剣先をキズつける可能性も(硬いものをぶつけるなど)
ミシン掃除の道具と要点
掃除に必要なモノ
使うものは注油編で紹介したものとほぼ同じです。
掃除をしたらついでに注油します。
又は
注油するときに合わせて汚れを掃除すると良いですね。
● ブロアー(ホコリを吹き飛ばす)
カメラ掃除用のブロアーを使います。
缶のエアダスターもあります。
● 使い古しの歯ブラシ(ホコリを掻き出す)
掃除用として有効利用します。
そのままでは使いにくいのでヘッドの角度を変えます。
ミシンによっては、ミシン掃除用として売られている毛先の長いブラシも有効と思いますが、私は歯ブラシを再利用しています。
ヘッドの角度の変え方は、
歯ブラシの首を日で炙り
曲げたい角度に曲げます。
ミシン用ブラシ
クリーニングブラシ各種セット
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● 綿棒(ホコリ、余分な油分、汚れを拭き取ります)
釜の狭い隙間などはは綿棒が活躍します。
● ティッシュペーパー、キッチンペーパー、キムタオルなどのペーパータオル
余分なオイルや、オイル受けに溜まったオイルを吸わせます。
● ハンカチサイズのタオルなど
ミシン本体のホコリ、汚れをササッと拭き取ります。
私はタブレットやパソコンを拭いて使い込んだマイクロファイバークロスを、ミシン掃除用に転用しています。
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● ドライバー(パーツを外すときに使うマイナスドライバー)
毎回針板は外さないのですが、今日は(掃除)やるぞというときには外します。
Goziは主にPB社製のドライバーを愛用しています。
針板など外すとき、背の低いドライバーが必要なときにはスタビードライバーがあると便利です。
Goziはなるべく小さく背の低い「サンフラッグ スタビードライバーウルトラミニ No.99-B」を使っています。
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掃除の仕方
Gozi愛用のシリンダーベッドミシンDSU-144Nと
平ベッドミシンDU-141NHを参考に説明させていただきます。
注意:作業時は必ず電源を切ること!
普段の釜部の掃除は
カマカバーとボビンケースを外し、ブロアーでざっとホコリを吹き飛ばします。(DSU-144N)
付着した汚れは綿棒で拭き取ります。
釜周辺
釜のレース部分
拭き終わったら忘れずに注油します。
平ベッドミシン、ポストミシン、その他ミシンも要領は同じです。
もっと細かく掃除するには
● シリンダーベッドミシンは
針板と送りを外します。(DSU-144N)
針板を外し、釜の上部とその周辺を掃除します。
針板の裏側をブラシで
針板と送りがキレイになりました。
この後、取り外した送り歯と針板の組付けは下記「針板と送り歯を組み付けるコツ」を参考に。
● 平ベッドミシンは
針板を取り外します。(DU-141NH)
送り歯を取り外します。
針板、送り歯をブラシで掃除
送りの裏の汚れ
ブロアーで吹きます
綿棒で
ブラシで
頭を倒して釜周辺のホコリをブロアーで吹き飛ばします。
油で付着した汚れは綿棒で掃除。
拭き終わったら忘れずに注油します。
針板と送り歯を組み付けるコツ
掃除が終わったら針板と送り歯を組み付けますが、コツがあります。
調整なしで組み付けると、針板と送り歯の隙間が無く、お互いが強く接触した状態のままになる可能性があります。
その状況を避けるために、組付ける順序を説明します。
まず、送り歯はゆるく(軽く締めた状態で)仮付けした後、
針板を取り付け固定します。
送り歯のネジ穴は位置を調節できるよう少しの遊びがあります。
ネジが少し緩んでいる状態ではずみ車を回し、送り歯を左右にズラシながら針板との隙間が空くよう調整します。
送り歯が針板に触らない位置で調節できたら、送り歯のネジを固定します。
送り歯を固定後、もう一度はずみ車を手で回し、接触が無いかを確認して完了です。
◉ 針板と送り歯を組み付ける要領(順序)は、職業用、工業用、平、筒などどんなミシンでも同じです。
ミシン掃除 まとめ
ミシンは押さえや針周辺(特に注油後の油汚れ)や、ミシン本体のホコリや汚れも掃除しますが、主に必要な場所は釜周辺です。
釜の汚れのもとは、主に生地に針が刺さったときに摩擦で擦り切れて出るミシン糸や生地の繊維にミシンオイルが染み込んだホコリです。
ホコリの量は糸や生地の種類にもよります。
糸は長繊維のフィラメント糸より、短かい繊維に撚りをかけたスパン糸の方がホコリがたくさん出ます。
したがって掃除頻度は、扱っている生地と糸によって汚れ方が変わるため、釜への注油や下糸交換など、釜を見られる機会に汚れ(ホコリの溜まり具合)を意識してチェックするとよいでしょう。
注意:ミシンにはオイルを送る油芯や、オイルを貯めるフェルトなどが付いていますが、清掃時にこれをゴミと間違えて取り除かないようにしましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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