本縫ミシン 針と釜の関係 調整方法を解説します

  • 2021年4月15日
  • 2021年4月18日
  • ミシン

縫製時、目飛びや糸切れがあれば、釜と針の位置やタイミングがズレている可能性があります。

針と釜の調整を、GOZI帆布の店主Goziが、愛用の工業用厚物シリンダーベッドミシン(筒縫垂直2倍釜)JUKIのDSU-144Nを参考に解説します。

ミシンには家庭用、職業用、工業用があり、垂直釜、水平釜の違いはありますが、上糸のループを釜の剣先で掬う構造は同じですので参考にしていただければと思います。


針と釜の調整方法

なぜ針と釜の調整が必要なのか?

糸の目が飛んだり切れたりの縫製時の不具合無ければ調整の必要はありません。

もし現在、糸目が飛んだり糸切れがあれば点検調整をおすすめします。

縫製中、糸が絡んだり針板を突いたりして強い力が釜や針棒に加わると針と釜の位置がズレ、タイミングが狂うことがあります。

このようなことが積み重なっていつの間にか大きくタイミングがズレている場合もあります。

タイミングが合わなければ糸目が飛んだり糸切れをおこします。

点検調整はミシン店に依頼するか自身でするか、機械に詳しい人にお願いするかになります。
この記事を見て頂いているということは「自分で調整できないか」との思いがあることでしょう。

決して難しい作業ではありませんのでトライしてみても良いのではないのでしょうか?

縫製は、針と釜剣先の適切な位置とタイミングで行われます。

本縫ミシンによる縫製は、
最下点から針が少し上がった位置で作られた上糸の小さなループを、釜の剣先ですくうことにより下糸を絡めて結び目になり、これを連続で行うことで縫目になります。


針のえぐりを剣先が高速で通過します。
ミシンによる縫製は、このごくわずかな隙間とタイミングにより行われます。



0. 最初にすること

・まず、ミシンの電源が入っていないことを確認します。

(調整中のケガ防止のため)

・続いて、使用する針を新品のものに交換します。

僅かでも曲がったものであれば正確な調整ができないため必ず新品に交換します)

(針を付けるときにはえぐりの向きが傾かないよう慎重に付けます。)

このときいつも使っている針の中で一番太い針を付けます。

使用する番数が、例えば#19と#21の場合、太い方の#21を付けて調整します。

この、太い針で合わせると細い針に変えたときに目飛びの可能性があります。

しかし、それでも細い針で合わせないのは、細い針で合わせた後、太い針を付けたときに釜とのクリアランスが無くなり、剣先が針に当たる可能性が高く、当たれば針が曲がったり、最悪剣先をキズつけたり釜の破損につながります。

修理やそのためにかかる時間、費用を考えると・・・怖いですね。

厳密に言うと、使う針に合わせてその都度釜を調整するのがベストかも知れませんが、そうもやってられないので、目飛びなど不具合が無ければ「調整は使用する太い針に合わせる」が最善です。

但し、太さに差がありすぎて、細い針で目飛びする場合は調整が必要になります。

1. 針棒の位置の確認と調整

解説のミシン

使用ミシン:シリンダーベット1本針本縫上下送りミシン JUKI DSU-144N
使用針  :ORGAN DP×17 #21
DSU-144Nの現在の標準針はグロッツ・ベッケルト 135×17 Nm160です)

私Goziは通常#19と#21の針を使っていますので#21で調整します。
以下の記事もサイズ#21の針で解説します。

必要なもの : マイナスドライバー



針棒位置の点検

釜カバー、ボビンケースを外します。

送り足や押さえ足なども外しておくと作業がしやすいです。
後で外してもも構いません。


はずみ車を回し、針棒(針)を最下点(上がりも下がりもしない下死点)まで下げます。


下の写真は面板を外して針棒を見た所。
4つの刻線がありますが使用する針はDP×17なので、下の2本の刻線に合わせます
(DSU-144Nの場合、上2本はDP×5用です。長さの短いDP×5を使うときにはこの刻線に合わせます。)



最下点で針棒を見上げると刻線が見えます。



下2本の刻線のうち、上の線がメタルの下端に合っていれば最下点の正常な位置です。↓

なんとなく見える上の刻線が、メタルの下端に合っているのがお分かり頂けるでしょうか?


もし合っていなかったら刻線が合うように針棒の位置を調整します。

針棒の位置の調整方法

最下点の状態で面板のラバープラグを外すと、サービスホールの奥に針棒抱きの締めネジがあります。
下から針棒を落ちないよう指で支え、ネジを緩め、上記写真のようにメタルの下端に合わせ締め付けます。



これは面板を外したところ。
最下点で針棒抱きの締めネジがこの位置にあります。

針棒はネジを緩めると上下の他、円の回転方向にも回るので、糸通し穴、針の向きも見ながら刻線に合わせて締めます。

釜を正面から見たところ
最下点で針穴が1/3程度見えています。

これで針棒の調整が完了しました。


2. 釜と針の関係の調整

調整しやすいようにパーツを外します。

針板を外します。↓



送りを外します。↓



針と釜が見やすくなりました。↓



針棒の下刻点をメタルに合わせる

パーツを外し準備ができたらはずみ車を回し、下の刻線をメタルの下端に合わせます。
この位置で針と釜の調整をします。



釜止めネジを緩める

釜は大きいネジ2本と



小さいイモネジ1本の3本で留まっています。


このネジ3本とも釜が動く程度に緩めます。
緩いとクルクルと動きすぎるので、動きが重くなる適度に締めます。



釜の合わせ方

釜の後ろに白い紙を両面テープなどで付けておくと、針と釜剣先の隙間が分かりやすくなります。



○ 剣先の先端を針の中心点に合わせます。



× 剣先が手前や



× 剣先が奥にならないように


剣先の先端を針の中心点に合わせた状態で、針と剣先の隙間を合わせます。

針と剣先の隙間は0.02〜0.05mmになるように調整します。
(合わせる隙間はミシンによって違います。説明書で確認を。)

隙間は一般的なコピー用紙の厚さ0.09mmより狭いです。


下の写真では隙間が無いように見えますが、0.02〜0.05mmの範囲で調整しています。

調整ができたら緩めた3本のネジを本締めします。

はずみ車を手で回しもう一度刻線と針と剣先の位置関係、隙間を点検して問題が無ければ外したパーツを組み付けて完成です。


送りと針板を組み付ける要領は下記のブログに記しています。ご参考に。
パーツを外したら、ついでに釜周辺やパーツの掃除もおすすめします。



3. 釜調整のカンタン裏技

ミシン針の太さの違いを利用します。(なので太い針が必要です)

目視で針の中心線に剣先を合わせながら、隙間を0.02〜0.05mmにするのはなかなかめんどくさいです。

そこで、通常使う針よりさらに太い針をお持ちの場合その針を利用します。

下の写真の針 DP×17の左から#19、#21、#23です。
私が使う針は#19と#21で、通常調整は#21で合わせますが、これにさらに太い#23に変えて行います。

(DSU-144Nの標準針として付属していたDP×17 #23を使用します。
DP×17 #23 は、現在の標準針 グロッツ・ベッケルト 135×17 Nm160と同サイズです。)



#23を付けたら剣先を針にピタッとくっつけます。(下の写真↓)
剣先を針の中心点に合わせたら釜のネジを締めます。

#21の針に変えたら太さの差分で隙間が空きます。

はずみ車を回し問題が無ければ完了です。

カンタンですね。



針と釜の調整まとめ

目飛びなどの不具合がある場合、考えられる原因の一つとして針と釜の関係が疑われます。

もし、本当に狂っているのか分からないとき、他の原因も考えられるときには、とりあえず釜周辺のパーツを取り外し、針棒の位置の確認と、針と釜の関係の確認、点検をするのが良いでしょう。

針と釜の調整のおさらい

  1. 針棒の点検と調整 位置合わせ
  2. 針と釜の隙間を調整する

針と釜の調整ですることは、大まかに以上の2点になります。

調整しても目飛びなどの症状が改善しない場合、針の長さを例えばDP×17からDP×5と違う長さの針に変える(要調整 ミシンにより指定の針が違います)とか、針のメーカーを変えてみると材質による硬さの違いで改善される場合もあります。

針と釜の調整は各メーカー、各ミシンの取り扱い説明書にも載っていますが、もっと分かりやすくできるかと思い説明させていただきました。

もしお手元に説明書が無ければ、各メーカーからインターネット上で公開されていますので、そのミシンごとの数値を参考に調整して頂けたらと思います。

最後に
作業のついでに指で剣先に触ってみて、糸切れの原因にもなるバリが出ていないか確認しましょう。
もしバリがあれば目の細かい紙やすりで研いで下さい。



もし、自身で解決できないことがあれば、無理せずその道のプロであるミシン屋さんに相談して下さいね。

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