ミシン針の交換時期について解説します

GOZI帆布の店主Goziがミシンを使い始めた頃、薄地用の職業用ミシンで付けられる最大の16番の針で縫っていました。
厚く重ねた帆布を縫うとき、モーターに力がないためムリムリはずみ車を手で回して縫い進めますが、針が生地に負けると斜めに刺さり必ず針板を突いてしょっちゅう針をダメにしていました。

今は工業用厚物ミシンで、19番以上の針を使うのでめったに針板に当てることはないものの摩耗はします。

「ミシン針を交換しなくて良いのだろうか?」と疑問に思ったとき参考にして頂ければと思います。


ミシン針を交換するときはいつ?

ミシン針は異常が無ければ(新品の状態が維持できれば)特に交換することはないのですが、
とはいえミシンを使用すれば必ず針の先端は摩耗していきます。

ミシン針を付けっぱなしにしていませんか?

私Goziが職業用ミシンや、工業用厚物ミシンを使ってきた経験で、どんなときに交換が必要か解説します。


針のつぶれ曲がりによる

→即交換

針のつぶれ曲がりについては次項「ミシン針のつぶれ曲がりとは」で解説


糸の番手に合わせ針を変えるとき

→外したときに点検し継続使用か廃棄か決める

例)8番の糸を使うのでミシン針を19番から21番に交換する
点検して19番がまだ使えそうなら保管
つぶれがあれば廃棄

外したミシン針がつぶれなど問題が無いようなら再使用します
但し、長期使用しているものは廃棄します
(再使用でミシンにセットするときには改めて点検し、異常が無ければ取り付けます)

ちなみに私Goziは、外して再利用できるミシン針はタバスコの空きビンで保管しています。


釜の調整をするとき

→必ず新品と交換

釜の調整を行うときには必ず新品に交換します

釜の調整方法は以下のブログ記事を参照して下さい

本縫ミシン 針と釜の関係 調整方法を解説します


ミシン針のつぶれ曲がりとは

ミシン針の交換が必要になるのは、すべて損耗損傷によるつぶれ曲がりです。

「糸が切れる」「糸目が飛ぶ」「異音がする」など縫製中に何らかの異常を感じたら、ミシン針を外して点検します。


針先端のつぶれ

使用時間によるつぶれ(針が生地を刺した回数による摩耗)

→期間を決めて交換
→異常を感じたとき点検して交換

ミシンを使えば針板など硬いものに当てなくても、ミシン針の先端は少しずつですが必ず摩耗します。
期間を決めたり
製品を作った数で交換時期を決めても良いのですが、
普通に縫製ができて、針の状態が悪くないものを捨てるのももったいない。

私Goziはミシン針の番手の変更など、外す機会がないときには、
なんとなくもうそろそろかなと思いついたときに点検します。

点検方法

先端を目視で
ミシンライトの下など光のもとで見ると片減りなどの摩耗はよくわかります。

見えにくい場合はルーペなどを使い確認します。

使用しているのは

エンジニア ムッシュマグニ ルーペ 拡大鏡 携帯用 折りたたみ ケース付 SL-64

amazon ENGINEER ムッシュマグニ ルーペ SL-64


さらに

針の先端を指の指紋に斜めに当てて引いてみると、バリがある場合少しの引っ掛かりが感じられるのでその場合は交換します。


生地に刺さるプツプツとした音や糸切れにより

→点検して交換

 プツプツとした音は潰れた針の先端が、生地の繊維の糸を引きちぎる音です。
この音が出たら当然交換しますが、参考の為、どの程度潰れているのか確認してから廃棄しましょう。

針の先端が潰れた例
左は使い込んだ針 わずかにつぶれている 右は新品


針板など硬いものに当たったとき

→即交換

針板を突けば必ず針の先端は潰れます。

即交換です

先端が大きくつぶれた例


針の曲がり

ミシン針の微細な曲がりは目視では確認できません。
目飛び糸切れ異音など不具合があれば交換します。


針板に当たったときの衝撃での曲がり

→即交換

針板を突けば針の先端の潰れとともに曲がります。

ではどんなときに針板に当たる?
生地を極端にたくさん重ねたときに針が生地の圧で斜めに入り針板に当たります。

下の例は折れたり、かなり曲がった極端な例ですが、
針板に当たったら
パッと見分からなくても、
たとえ新品を付けたばかりでもったいないと思っても交換してください。

必ずつぶれ曲がりがあります。

※ 針折れの場合、必ず欠損した先端を回収します。
ミシンに入っていればさらなる故障やトラブルに
どこかに落ちていればケガの原因になるからです。


縫製による微細な曲がり

ミシン針は、使い込んでいくと針が微細に曲がる可能性があります。


チッチッチッと釜の剣先が触る音がする

→即交換

縫製中チッチッチッ・・・・という音がしだしたら
釜の剣先が針に当たる音です。

曲がった原因があると思いますが、とにかくこの音が出たら即新品の針に交換します。

縫えるからと言ってこの音を無視していると、釜の剣先にダメージを与え、最悪釜の修理か交換になることもあります。

ミシン針はケチらずに新品に即交換です。

針を新品にしても治らない


釜の調整が必要です。


または

それまで音は出ていなかったのに、太いミシン針に変えたときにこの音が出だした

太いミシン針に合わせた釜の調整が必要です。

釜の調整方法は以下のブログ記事を参照して下さい

本縫ミシン 針と釜の関係 調整方法を解説します


目飛び

→他に原因がある場合もあり ミシン針を交換して様子を見る

目飛びも針が原因の場合があります。新品の針に代えて様子を見ます。

糸切れ

→他に原因がある場合もあり ミシン針を交換して様子を見る

糸切れも針が原因の場合があります。新品の針に代えて様子を見ます。

もしかしたら針を逆に付けているかも?
(えぐりと溝を反対に付けると糸切れします)

最後に

縫製工場など、ミシン針でトラブルになるくらいなら1日1回の交換や、製品ごとの交換で良いのだろうけど、ミシンを使うのは「趣味で制作」「個人での販売」となると、問題が無ければなるべく永く今のミシン針を使いたいと思うものでしょう。

最近では各ミシン針メーカーから、少し割高ですが耐久性を高めるためにチタンコーティングされたミシン針がでています。

針板を突けばコーティング無しのミシン針と一緒ですが、トラブルが無ければ耐久性は期待できそうです。

右がチタンコーティングミシン針

ミシン針メーカーの選び方

ミシン針のメーカーは日本の「オルガン」ドイツの「グロッツ・ベッケルト」「シュメッツ」がありますが、お使いのミシンの取扱説明書の使用針メーカーが記載されていましたらと同じものを選びます。

ミシン針はメーカーにより硬度、強度が違います。
ようはミシン針固有の硬さやしなりですね。
ミシンメーカーはこれを考慮してそのミシンの使用針を決めています。


例えば私が使用しているJUKIのシリンダーベット上下送りミシンのDSU144Nはの以前の使用針は「オルガン」でしたが今は「グロッツ・ベッケルト」です。 135-17 DP-17
なぜ針メーカーが変更になったかは不明ですが、この場合はどちらのメーカーの針も使います。
同メーカーのチタンコーティングミシン針も使います。

気をつけたいのは総合送りミシンです。

総合送りミシンはミシン針でも送るので、必ずミシンメーカーが設定したメーカーのものを使います。

使用しているJUKIのハイポストベッド総合送りミシンPLC-1691の使用針メーカーは「シュメッツ」です。134-35 (R)  DP-35
なので必ず「シュメッツ」のミシン針を使います。
(シュメッツはチタンコーティングのミシン針は無いようです。)

工業用ミシンや職業用ミシン、家庭用ミシンで、特にミシン針メーカーの記載が無ければどの針メーカーのものでもOKです。


チタンコーティングミシン針はamazonや楽天で購入することもできます。
自身でお使いのミシン針DP×17やDB×1などの型番(記号)やサイズでご注文を。

amazon グロッツ・ベッケルト DP-17 (21番) チタン加工針 10本入り



ミシンにミシン針を取り付けるとき、えぐりの位置を簡単に合わせられるJUKIの工業用ミシン針用方向チェッカーが便利。

amazon ジューキ 工業用ミシン針方向チェッカー



ミシン針交換時期の結論

いろいろ書きましたが私Goziは
1.ミシンを使うとき、頭の片隅にミシン針は「消耗する」とあるので頃合いをみて点検。
2.縫製中に「異常を感じたとき、トラブったとき」には即点検交換する。
というふうにしています。



以上、誰かの参考になれば良いかな思って。


関連記事

◉ 記事が「役にたった」「為になった」と思っていただけたなら、下の画像をタップしてPayPalの決済にてご支援を頂けるとありがたいです。
金額は、読者が記事への報酬を自由に決められる PWYW(Pay what you want)方式です。

最新情報をチェックしよう!