Goziの帆布製品制作方法 製品制作
■ 本作(製品)を作る
● 生地の切り出し方
一つだけの制作なら一つ分を効率よく。
まとめて多く制作するなら、効率よくパーツを切り出すため、まず製品をいくつ作るか決めます。
作る数に応じて切り取り方が変わるからです。
切り出し方は紙に生地の絵を書き、パーツを書き込み、切り取るブロックごとに区切ります。
(下の図の680mm、500mm、480mmが各ブロックになります。最初はこの寸法+数cmで切り出します。)
切り出し方のパターンを書いた紙は、後に残す必要が無ければ適当な紙や、いらないA4用紙の裏などにフリーハンドで書いていきます。
これからも同じパターンで制作するつもりで今後に残すのであれば、ノートや用紙に、縮小した正確な寸法を定規で書き込みます。
切り出すパーツの布目の縦と横の向きを間違わないように配置をしましょう。
(上の図では左右が縦目、上下が横目です)(画像①と②は違う製品です)
パーツは収まりの良いようにブロックにまとめます。
例えば12個作る場合は、A,B,D,Gパーツを4つ取れるブロックを3枚、C,E,Fパーツを6つ取れるブロックを2枚など、ある程度まとまった数をブロックにして切り出すと効率が良いです。
◉ 切り出すパーツを配置するポイント
生地の横目は弓なりになっています。(下図:赤線)
そのため、生地の耳に近い部分は、縦目に対して横目が斜めになります。
生地の中心の方が縦糸と横糸の角度が直角でキレイなので、例えばショルダーバッグのフタや、表に見える所は生地のの中心部分から切り出す方が良いでしょう。
● 生地を切り出す
生地は巻きから外したらまずネップ(糸の塊や筋)の有無を確認をします。
帆布には天然生地の特徴でもあるネップが必ずあるため、それを避けるか、目立たない隠れる場所に置くかを考えなければいけません。
シンプルな製品など、作品の味になるようなら、帆布の特徴でもあるこのネップを敢えて入れても良いのですが、ある程度作り込むカバンなどは、強度的に問題なくても見た目が気になります。
小物など手にするものでは異物感を感じます。
ネップをすべて省くことは無理ですから知恵を絞って隠れるよう工夫します。
例えば、切り出すブロックが7枚なら、どのブロックのどのパーツがネップを避けれるか、見えない内側に織り込めるかを考え切り出します。
切り出しはロータリーカッターを使います。
ブロックの切り出しには、幅1m以上のカッターマットがあれば1mサイズのカッター定規を。
生地の幅が92cmか96cmなら一気に切れます。
A1サイズのカッターマットなら60cmのカッター定規か、カッターマットの対角線を使うなら1mのカッター定規を。
● 制作
① ブロック切り出し
生地は巻きから外すと縮みます。
これはギューと巻いてあるためで、当然緩めば伸ばされていた分縮みます。
このため、縮んでも長さが足りなくならないよう、縮む予想される分を足して切り出します。(縮み方は生地により違います)(生地は巻きが太いときの方が外したときにより縮みます)
Goziはこのブロックごと、少し大きく切り出すことを荒取り(あらとり)と読んでいます。
荒取りしていきなりパーツを切り出すと切り出した後に縮んで寸法が足りなくなりますので、この荒取りの状態で1日以上放置します。
○ 但し、カット生地を購入の場合、縮むことは考え無くて良いと思います。
② パーツ切り出し
一日以上放置し、生地が十分縮んだらパーツを切り出します。
ここでもロータリーカッターとカッター定規で行いますが、曲面のあるものや決まったサイズのものは予め作った型を使います。
曲面のある型はカッターナイフで切り出します。危ないようなら線を引いてハサミで切ります。
パーツ を切り出すときに
⚠ 生地の横目は真っ直ぐでは有りません。
先に説明したように生地の目は真っ直ぐでは有りません。
パーツの目を気にせずに切り出すと、ステッチのラインに対して横目のラインは斜めになり、縫い糸は横目の糸の山を斜めに越えながら進みます。
実際は真っ直ぐ縫っていても見た目はガタガタになり見栄えは悪いです。
キレイなステッチにしたいのであれば、この横目の山を縫い目のラインと並行に切り出さなくてはいけません。
但し、ステッチをキレイにすることより優先させることがあればそちらを採用します。
GOZI帆布では生地の耳を使う製品が多く、耳のラインから直角に切り出すと横目のラインは斜めになりますが、ここでは「耳」を優先します。
③ マーキング
切り出したパーツに、チャコペンで組み立てるときのマーキングをします。
位置決めの印や目安になる線、金具の位置、中心点や組み立てで必要なしるしを書き込みます。
生地は縫うと僅かに縮むので、縫った後に印しを打つ方が都合が良い場合もあります。
チャコペンは濃い色の生地はアイロンで消える Clover の白のアイロンチャコペンを使っています。
薄い色の生地はClover のアイロンチャコペン同様、熱で消えるパイロットのフリクションボールペンの先が0.7を使っています。但し少し白く色が残ります。
④ パーツの曲げ
全ての切り出しが終わったらパーツを曲げます。
GOZI帆布では曲げる前に、定規と鉄筆で折り曲げ線に跡が付くよう線を引きます。
こうしてから曲げると、自ずと引いたライン上で曲がるので、後はローラーでしっかり折り曲げます。
④ 曲げたパーツの縫い
曲げが終わったら各パーツを縫います。
パーツによってはこのときに金具を付けます。
⑤ パーツを縫い合わせパネルを作成
例えばカバンなら表面、裏面、側面の各本体パーツにポケット、フタ、持ち手などを、先に付けたマーキングのしるしに合わせて縫い各パネルを作ります。
縫うモノによっては仮縫いして位置決め、固定してから本縫いをします。
(「パネル」はGoziがわかりやすいように命名)
表面、裏面、側面の各パネルをマーキングの位置で正確に合わせて仮縫いし、本縫いします。最後にテープを縫い付けます。(製品によります)
パネルの縫い合わせが終わればひっくり返します。硬い生地は結構力が要ります。
ひっくり返すとどうしてもシワが入ります。
生地に付いたシワはアイロンのスチームで軽減されます。
アイロンは押し付けず、少し浮かせてスチームだけ当てるようにします。
シワを伸ばした後、最終チェックをして完成です。
製品のバージョンアップ
GOZI帆布では、試作を重ね新作を出すときは、いつもその時考え得る最良の製品を販売しています。
しかし、店頭の製品を見ていると、製品によっては時間が経つとここを直して欲しいと言ってきます。(頭おかしい?)
お客様の何年も使い込んだカバンが教えてくれることもあります。
糸の太さだったりパッとみて分からない細かいところもあります。
そんなときは次作からは改良して、よりベストを目指します。
● 制作まとめ
「切り」「曲げ」「縫う」に関しては、ちょっとした細かいノウハウも含め説明したいことは沢山あるのですが、この部分のこのときにはこうするなど、かなり限定的になるのと、感覚的なことは文章で説明することは難しいため、制作に関してはここまでとします。
もし、気がついた事があれば今後も加筆します。
とにかく沢山作って、沢山失敗をして憶えましょう。
もし、来店されることが可能でしたら、できるだけ説明させていただきます。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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