職業用の厚物ミシンを使いましょう Goziの帆布カバン教室 ステップ②

帆布製品の制作は 
厚物用ミシンが必須です

かばん作りに必要なミシン は?
帆布が縫えるミシン=厚物用ミシン

◉ 厚物用ミシンには職業用と工業用があります

まず、帆布や革の地の厚いかばんを作ろうと思ったら、最初に必要なのは厚手の生地を縫う為のミシンです。

家庭用ミシン、一般縫製用の職業用ミシンでは使える針の太さはだいたい16番。
使える糸は最大30番で力も弱く頼りないです。

さらに縫う帆布の号数にもよりますが、重ねて縫えるのは4枚程度です。

多く重ねると厚さにモーターが負けて止まるので、はずみ車を手で回さないと針が生地には入りません。

入っても今度は針(16番でも)が生地に負けて真っすぐ入らず針板を突き、針は曲がり、針板は凹んでいつしかキズだらけになります。

針が入っても下糸を掬えず目飛びをおこすことも多々あります。
針の消費量も上がり、第一に縫製が軽快に進まずストレスにもなります。

針はもし曲がったまま、もしくは先端が潰れたまま使用すると釜を傷める可能性があります。

釜にキズが入ると縫製のトラブルにつながり、最悪修理が必要になることもあるでしょう。

これらはすべて私がカバン作りを始めた頃に使った職業用ミシンで経験したことです。

そうとはいえ、これからできるかどうか分からないカバン作りに高価で場所を取る工業用ミシンではハードルが高いと思います。

そこで、以下を提案します。

△ 家庭用ミシン

もし、とりあえず家庭用ミシンが有れば、11号帆布など薄めの帆布を針16番、糸30番でとりあえず作ってみることです。

○ 職業用厚物ミシン

家庭用ミシンでカバンを作れる人、ミシンを持っていないけど、これからカバンを作っていきたい人は、職業用厚物ミシンという選択がベストです。

ポータブルで置き場所にも困りません。(必要ならオプションで専用台もあります)

現在、職業用厚物ミシンは以下の3点があります。

baby lockのエクシムプロ EP9400LS 極(きわみ)

ジャノメ HS-85DX / HS-75DB

JUKIのSL-700EX HY-SPEC(ハイスペック)

です。

どのミシンも18番の針と20番の糸が使えます。
(針は数字が大きいほど太く、糸は数字が小さいほど太いです)

厚物用ミシンは一般縫製用の職業用ミシンと比べると値段は高いのですが、工業用と比べれば半額以下です。

再度言います
帆布など厚手の生地でカバンを作るのであれば厚物用ミシンは必須です。

私がカバン作りを始めた頃、厚物を縫えるミシンは工業用しか選択肢が無かったのですが、職業用でも厚物が縫えるミシンが登場して、カバン作りのハードルがずっと下がったと思います。

但し、工業用の厚物ミシン程の性能(パワフルさや使い勝手)はありません。
あくまで職業用で厚物が縫えるミシンです。

もし職業用厚物ミシンで作りたい作品に対応できないなら工業用厚物ミシンが必要です。

◎ 工業用厚物ミシン

カバンを作り慣れ、本格的に販売をしていくのなら工業用ミシンが最適です。

私Goziが一般用職業用ミシンから工業用厚物ミシンに変えて良かったことは、太い針と糸が使えてパワフルで、針が負ける心配が無くなったことはもちろんのこと、ミシンの針から本体までのふところが深い(大きい 広い)ところでした。

縫製中、場合によっては硬い帆布のかばんを針の右側(ふところ側)を折り曲げて通さなければいけない。ふところが狭いミシンではとても窮屈です。

工業用は職業用と比べて5cm以上広かったので、使ってみて改めてこのメリットを実感しました。

職業用厚物ミシンよりも更に無理が効き、制作の幅も広がります。


おすすめ工業用厚物ミシンは?

愛用しているミシンは JUKI DSU-144N です。

「カバン作りを仕事」と決めて、当時名古屋市栄のさくらアパートメントに出店する時、6畳一間の狭い店舗にレジ台とカバンの展示スペース、作業台を置く場所を確保するためにはミシンは1台しか置けません。

それまで平ベッドの職業用ミシンを使っていたのですが、平ベッドだけでは「縫いにくい」や「縫えない」場面も多々ありました。

平ベッドミシンのみでの製品制作の経験を通して、カバン作りには筒縫い(シリンダーベッドミシン)が必要だと思い知ました。

かと言って平ベッドミシンが無くては制作に支障があります。

そこで探して見つけたのが、工業用筒型上下送りミシンのJUKI DSU-144Nです。


このシリンダーベッドミシンDSU-144Nはパワフルな上下送りで、下糸交換の頻度を減らせる2倍釜。最大23番の針と1番の極太糸が使えます。(カバン作りでそこまで太い糸は飾りで使うぐらいで、使うにはその都度釜の調整が必要のため実際には使ったことはありません)

なんと言っても最大のメリットはシリンダーに平台として装着できる補助ベッドがオプションであることでした。(工業用ミシンは専門性が高く、補助ベッドがオプションというものは中々無い)

脱着の手間はあるものの1台で筒も平も使えてまさに「これだ!」という感じでした。



これまで使っていた一般縫製用の職業用ミシンでの苦労していたことが解消され、サクサク製品が作れることに感動しました。


モーターはクラッチモーターかサーボモーターか?


クラッチモーターは安価ですが扱いが難しく慣れが必要です。
私は高価にはなりますが電子制御で扱いが楽なサーボモーター(三菱製)を選択しました。

現在は安価なサーボモーターもあるようです。

ミシンのパーツ
吊り定規や色々な種類の押さえなど、制作を楽にしてくれるパーツはどんどん取り入れていきましょう。

まとめ

家庭用ミシンがあればそのミシンでとにかく作ってみることです。

ミシンが無く、何か1台購入するなら職業用厚物ミシンがマスト。
家庭用ミシンがある人もできれば職業用厚物ミシンを。

ある程度制作経験があり、カバン作りを職業とするのなら。
そしてミシンを置けるスペースがあれば工業用厚物ミシンを考えてみては?
 
中古で探しても良いと思います。
人気のある厚物ミシンは玉数が少ないものの、程度の良いミシンがお値打ちに見つかればラッキーです。

作れる環境を整えて、帆布が無ければどんな生地でも使って、まずは簡単なものから作ってみることが肝心です。





厚物ミシンの購入方法は、以下のページにまとめましたのでご参考に。

関連記事

「はじめての帆布と革のバッグ」
帆布と革を使ったバッグを、ベビーロック製の職業用ミシン「エクシムプロ EP9400LS 極」を使って作る方法を分かりやすく説明した書籍です。

↓製作の参考にどうぞ。

amazon はじめての帆布と革のバッグ (Beginner Series) 大型本 – 2018/2/7

◉ 記事が「役にたった」「為になった」と思っていただけたなら、下の画像をタップしてPayPalの決済にてご支援を頂けるとありがたいです。
金額は、読者が記事への報酬を自由に決められる PWYW(Pay what you want)方式です。

最新情報をチェックしよう!